本国イギリスでは、すでに自信をつけた野心的なスーパースターの風格を漂わせるミューズ。このトリオの特徴は、物怖じせずに壮大華麗な音と黙示録めいたオブセッションを、キレのいいポップなグルーヴで響かせることだが、ブレイクのきっかけとなった『Absolution』に続く本作は、その特徴が控えめになっている。オープニングのミニマリストの苦悩「Take A Bow」は、ゴス・ポップの凝った音を集めていた前作との架け橋を思わせるが、同じタイプの曲が続くという予想は、すぐさま覆される。至福のシンセ・ポップ「Starlight」、ファルセットで歌うスペース・ディスコの足踏み「Supermassive Black Hole」、クールなニューウェイブ復活のきらびやかな「Map of the Problematic」と続くのだ。初期にレディオヘッドと比較されていたが、それもここで終わりだ。確かに、陽気な「Soldier’s Poem」では、ボーカリストのマシュー・ベラミーは巧みにフレディ・マーキュリーに通じているし、「Assassin」ではおなじみのメタリックな大胆さと過去のミューズがもっていた叙情的な不安感を響かせている。だが、「Knights of Cydonia」はねじれながらメロドラマ的なクライマックスへ突き進むような曲で、どこかELP、デイヴィー・アレン、プロコル・ハルム、クリス・アイザックを彷彿とさせる。不信を保留にさせる力、めまいのしそうな縦横無尽なアプローチ。ミューズはジャンル分けを無意味にさせるロック界の強者として、自分たちの実例を示し続けてきた。

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1. Take A Bow
2. Starlight
3. Supermassive Black Hole
4. Map Of The Problematique
5. Soldier’s Poem
6. Invincible
7. Assassin
8. Exo-Politics
9. City Of Delusion
10. Hoodoo
11. Knights Of Cydonia